- ヒガシテッペイ
JAMる人/現代美術二等兵
菓子にも駄菓子があるように、美術にも駄美術があっても良いのではないかと活動している美術ユニットの現代美術二等兵の籠谷さんとふじわらさん。
現代美術二等兵さんの制作する、正真正銘の一級品ではなく、生活の必需品でもない、だからこそできる“あそび”の余白に見え隠れする魅力に迫ってみたい。

ー アンケートよろしくお願いします。
早速ですが、カンタンにどんな作品を作ってるかご説明お願いします。
(籠谷)
普段は略歴(文末)のような「駄美術」を作って発表しております。
ー 駄美術(だびじゅつ)とは? 美術とはどう違うのでしょうか?
(籠谷)
美術、芸術だとどうしても敷居が高く観る人にも知識を求める部分があるのですが、駄美術は観る人誰もが楽しめるようなバリアフリーな作品です。
高尚さゼロなところが違います。
(ふじわら)
違うのか違わないのか、我々もわからないのですが、ほんとに お菓子と駄菓子の関係だと思います。お菓子の中に駄菓子があるのかな。
(籠谷)
美術にファインアート(純粋美術?)や商業美術がありますが、「駄美術」もあってもいいのかなと。
ー ゼロって言い切るところがすごいですねー。
確かに現代美術二等兵さんの作品には子ども心というか、吉本新喜劇的なノリで気楽に楽しめる雰囲気がありますね。
ちなみにこの駄美術というネーミングはお二人発信のものなのですか?
(籠谷)
ふじわらが考えました。
(ふじわら)
そうですね。最初は普通に展示してたのですが、来場者にちょくちょく「これは美術じゃない!」と言われる(怒られる)ことがありまして。
「美術ちゃいまんねん 駄美術でんねん!」と 開き直りました。
ー 笑!美術じゃない!とは失礼な。 ちなみにお二人から見てこの作品は駄美術的だなぁと思うアーティストとか他にいらっしゃったりするんですか?
(籠谷)
おお!難しい質問。一杯いる気もしますし、そうでも無い気もしますし…。
アーティストと名乗らないけど物作り系の人とかならたくさんいると思います。
(藤原)
SNSの影響か 面白いもの作る人は増えていると思います。
勝手にこっちゾーンにジャンル分けしちゃうと ちょっとアレですけど。
こないだ東京藝大の卒展 行ったら、「オフの日」っていう彫刻を出してる人がいました。
スケールが違いますが、精神は駄美術やなあと。
*画像が見たい人は「オフの日・三好桃加」で検索してください。
(籠谷)
この人に駄美術て言うたら怒られたりして。
(ふじわら)
自分で言うのはええけど、他人に言われると ハラ立つかも。
ー 爆笑! 言われてきた人だから言える「ハラ立つ」ですね。
オフの日いいですね。力抜けてて。
逆にお二人で作られたモノで「これはもう美術やん!却下!」みたいな
逆没作品みたいなものってあったりするんですか?
(籠谷)
却下は無いですね。まともな美術は思い付きませんので。笑
駄美術を作ったつもりが、見に来た人が「これは駄美術じゃないやん、美術やん!」と言われた事がありました。昔と逆ですね。なんたる皮肉!
ー はっはっは〜(ついに声出して笑いました) 洒落てるというよりは駄洒落。
スマしてるというよりは、スカしてる感じが現代美術二等兵さんの魅力やと思います!
だからこそキャッチー。キャッチーだからこそのガチャガチャになって販売されたりするんでしょうね。 ちなみにガチャガチャで展開してるのは売り込んだんですか?
(ふじわら)
最初は紹介してもらって持ち込みました。そこで何点か商品化してもらいました。
缶詰リングはtwitterにアップしたら、メーカー側からアプローチありました。
ー おーーすごい。繋がって行ってますね。
変な言い方ですが、美術ではそういう展開にはならなかったと思います。
やっぱり敷居が高いというか、、
今回の生地の作成は、2019年に開催したrough&peaceでの現代美術二等兵さんの個展での展開から作成させてもらったのですが、やりとりとしてまず代表作をご紹介いただきました。
今回の生地の柄になったモチーフについてご説明いただけますか?
(籠谷)
モチーフは2作品使って頂いています。 まず「こけしアレー」。
飾り棚でやる気無さそうな誰かにもらったお土産の代表格の「こけし」と、鍛えるぞ!と意気込んで買ったものの三日坊主で文鎮にもならない事が多い「鉄アレー」という他に使い道の無い2アイテムを合体することで、ネガティブな要素が解決し新たな価値を生み出させようと実験した駄美術です。
残念ながら中途半端な二つを掛け合わせても、より中途半端さが増幅されたという作品です。
もう1点が「ぐれダルマ」 ダルマは長い間修行を積んで、あの姿になったと言う話を聞いて、例えば長い修行に耐えかねて、不良になることもあるのでは?と思い、法衣の下の髪型をリーゼントにし、一般的にはお腹には「福」と書かれているところを「悪」としたりして、ワルっぽくしてみました。
気の短い修行僧の成れの果てです。
(ふじわら)
あと「抱っこしてちょ」という有刺鉄線のテディベアです。
抱っこしたいのに抱っこできないジレンマの権化です。
(籠谷)
ごめん!それもあったわ。
計3点ですかね。
ー 今回、テキスタイルを作るにあたりボクが図案を描く事になった訳ですが、お二人からのオファーとしてはアフリカンバティック風の柄を希望されましたが、どういう意図だったんでしょうか?
(籠谷)
アフリカンバティックは個人的に好きで、
柄のモチーフに身近な雑貨、例えばラジオとか、扇風機とか普通扱わないものが柄になっていて、
シュールだけど美しくて魅力的だなと思ってました。
僕らの変な作品をテキスタイルに落とし込んで頂くなら、アフリカンバティック的なのがいいな、と割とすぐ思い付きました。
アフリカンバティックなら、許してもらえそう、みたいな。
ー なるほど!ボクもアフリカンバティックは大好物で、資料(本)も何冊かもってます。
アフリカはあまりチラシとか広告にお金をかける文化がなく、なんでもテキスタイルにして着ちゃう国民性で、選挙の時なんかも候補者の顔柄のテキスタイル作って着たりするです。
そういうのが回り回って日本でも古着屋に並んだりして、意味が薄れてデザインの妙だけが一人歩きする感じ、いいですよね。
今回のバティック柄ですが色は最初コチラにお任せで、現代美術二等兵さんの作品×アフリカンバティックという解釈で勝手に(笑)2配色作りました。
今だから言える実はこんな色も欲しかった。
もしくはもうちょっとこんな表現が良かったみたいなやり残したアイディアとかあったりしますか?
(籠谷)
アフリカンバティックいいですよねー!訳もなく家に買ったやつがあります。
カッコよくて可愛く見えますね。意味は確かに薄れてますね。
今回のテキスタイル化は、色とかデザインは完全にプロにお任せして安心しきってました。
僕達はテキスタイルとか考えた経験も無いので。
仕上がりは予想を超えて素晴らしかったので感動しました。
もっと違う作品で落とし込んだらどうなるか見たいなー、と思った程です。
ー ありがとうございます。 ホッとしました。
アーティストさんとシゴトすると、一つの作業が何かのクリエーションにつながっる体感があります。
何をやっても少し斜め上に新しいものを見つけてもらえるような楽しさを感じます。
ぜひまたアイディア湧いたらコチラに投げてください! また何か作りましょう。
((籠谷 ふじわら))
ぜひぜひ〜
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作家名:現代美術二等兵

左:ふじわらかつひと / 右:籠谷 シェーン
略歴_
籠谷シェーン、ふじわらかつひとからなるアートユニット。
共に大阪出身、京都市立芸術大学彫刻専攻卒。
1992年より作品発表を開始。
お菓子の世界に駄菓子があるように、現代美術の中にも「駄美術」があっていいのではと、ちょっと堅苦しい現代美術にクスッと笑えるスパイスを加え、見る人誰もが楽しめる作品「駄美術」を作り続ける。
展覧会、グループ展多数。現在、ガチャガチャ企画、グッズ展開等活動の幅を広げている。